前回の結論:
いい菌をいくら口から摂っても、腸内フローラはそうそう良くはならない、、、
いい菌を食すのではなく、元からもってるいい菌を育みましょう、ということでした。
それには食事が大事だと。。。
今回は、食事が健康に及ぼす影響について、科学的エビデンスを見ていきましょう。
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プレバイオティクス>プロバイオティクス
まずは、下の記事をザッと読んでください。
食事に関して重要なこととして、腸内フローラをいい状態にする2つの方法が挙げられています。
ひとつは、健康に有益ないい菌を積極的に摂り入れる「プロバイオティクス」
もうひとつは、すでにもってる腸内フローラをいい状態にする効果のある食材を摂る「プレバイオティクス」
ヨーグルトとか納豆とか、いくらいい菌をせっせと摂り入れても、腸内に定着することはありませんとは、前回のブログで申し上げました。
かなりな徒労感の割には、実りは少ないです。人によるとは思いますが、私の場合はそうでした。
ならば、前回も申し上げた通り、自分がすでにもっている腸内フローラを、できるだけベストな状態に維持してやる。
私の経験からは、こちらの方がずっと効率的で効果的です。
つまり、「プレバイオティクス>プロバイオティクス」です。
サルを用いた20年に及ぶ壮大な実験
食事に気を使い、腸内フローラのメンテナンスに努めることは、病気知らずで、健康寿命を延ばすことに資するでしょう。
まず、食餌の摂取量が寿命に及ぼす影響は、マウスやモルモット、ウサギなどの小動物で実験されてきました。
寿命の短い小動物を使った方が早く結果が出ますからね。マウスの寿命は2年からせいぜい2年半です。
で、どの動物種でも結果は大体同じ。好きなだけ食べさせるよりも、量を7割程度に制限した方が、寿命が延びるのです。
これは、かなり再現性があり、信用できる結果のようです。
でも、同じ哺乳類とはいえ、ヒトとマウスやウサギとではかなり違いますよね。
小動物でこうだったからって、人間でも同じとは断言できません。
でも、人間でそんな実験してたら何十年もかかりますし、下手すれば研究者の方が先に死んでしまいます。(いや、冗談やなしに、、、ホンマに)
少し古いですが2009年に、かの世界最高峰の学術誌のひとつ、Scienceから一本の画期的な論文が発表されました。
なんと、ヒトに近い霊長類のアカゲザル、70余匹を2群に分け、片方には餌を好きなだけ食べさせ、もう片方には70%の量に制限して与え続けました。
観察期間は、なんと20年!
結果は意外にも、どちらの群にも平均寿命の差はなかったのですが、食べたいだけ食べさせた群は、加齢に伴う病気の発症率が高かったのです。
つまり、「食餌制限は健康寿命を延ばす」という結果です。
3年後の2012年。今度はScienceに並ぶもうひとつの雄、Natureからも、同じくアカゲザルを用い、20年以上観察を続けた結果が報告されました。
(なんか、NatureのScienceに対する並々ならぬ対抗意識を感じるなぁ)
結果はなんと、掟破りの「食餌制限は、寿命にも病気の発症リスクにも影響しない」でした。
ど、ど、どーゆーこと?
前にも言いましたが、特に動物やヒトを用いた実験では、実験条件の設定によって、かなり結果が変わることがあります。
その後、両研究グループが情報を照らし合わせて分析した結果、両グループの実験でサルに与えたエサの内容にかなり違いのあることが分かりました。
Scienceの研究では、糖質の多いエサを与えていました。
つまり、食事量を70%に制限することで、主にはカロリー制限の影響を見ていたことになります。
一方、Natureの方では、糖質の含有量は低く、栄養バランスに優れた良質のエサを与えていたのです。
ですから、もとよりいい食餌内容なので、好きなだけ食べても目立って病気にならず、短命にもならなかったわけです。
まとめると、「糖質制限は病気予防に効果があるが、なによりバランスの良い食餌が大事」ということなのですね。
図らずも、ScienceとNatureの実験条件が違ったからこそ、分かったことです。
ところで、今回の2つの実験結果から、糖質制限には病気予防の効果があるとのことですが、だからと言って、安易に糖質制限ダイエットなどに手を出さないでください。
モノによっては、とても危険ですので。 いすれ機会があればお話します。
食事は重要!――たった2週間で腸内フローラは良くも悪くも激変する!
それでもサルはサル。人間ではどうだかわからないよと言えば、わかりません。
だいたい、何十人もの人を徴用して、20年もかけて、こんな実験できませんよ。
2年や3年じゃ、寿命への影響とか、病気になるリスクの差とか検証できませんし。
それにオレ、1年でも節制させられる方のグループに入りたくないし(笑)
2015年、NatureグループのNature Communicationsから一本の論文が発表されました。
なんと、ヒトでの実験です。実験期間は2週間!
な、な、なぬ? たった、2週間?? 2週間で何が分かるわけ???
平均寿命とか病気の発症リスクとか、そんな長期間の観察を要する実験ではなく、わずか2週間で、食事内容によって腸内環境がどれだけ、どのように変化するのかを検証しています。
何十年も質素な食事をしてきた人も、アメリカン・ジャンクフードをたった2週間食べただけで腸内環境は劣悪化する。
何十年もジャンクフードを食べ続けてきて、すっかり荒んだ腸内環境の人も、よい食事に切り替えると、たった2週間で改善するのです。
サルとかヒトとか、多様性のある動物を対象とした、たった一つの実験結果で結論づけることは難しいです。
上記の3つのエビデンスを合わせても、確かなことは言えないかもしれません。
でも、非常に示唆的ではあります。
食事については、「質と量」の両方が重要だということです。
そして、たった2週間で、これだけ変わるのであれば、いい食習慣を何年も、何十年も続けていれば、健康寿命に大きな差が出てくる(かもしれない)ということが示唆されているわけです。
今日からでもできることですので、チャレンジされてみれば?
お前はどうなんだって? ウチの今宵の晩御飯は、ジャパニーズ・ジャンク、否、関西ジャンクフードのたこ焼きですがな(笑)
今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。
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