004【健康食品・サプリメント 広告に騙されない賢い方法(その4)】根拠のない広告の具体例

「医薬品・医療機器等法(薬機法、旧薬事法)」の規制範囲外である健康食品やサプリメント、化粧品等の広告は(私が見る限り)99%が怪しい!

効果・効能を謳えない、これらの商品やサービスの数々。

「法令上、これはセーフなのか?」と思うものも多いのですが、私は法令には詳しくないので、これらの広告について、「不適切だ」と声を大にして言えないところは多々あります。

それでも、これは明らかに「科学的根拠がないだろ!」とか、そもそも「生理学的に間違ってるだろ!」と言えるものはたくさんあります。

今回は、そんな数ある怪しい広告から2つの具体例を挙げて、どこがどう信用するに値しないのか?

できるだけ分かりやすく、お話したいと思います。

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飲むだけでお腹の脂肪がウンコと一緒に排泄できるってか?

飲むだけでお腹の脂肪がウンコと一緒に排泄できる?

ある商品(漢方薬で、つまり医薬品らしい)のネット広告で、「便と一緒にお腹の脂肪がドッサリ」とか、「トイレで夫が感涙」とか書いてましたね。

食事制限とか運動とか特段の努力もせずに、飲むだけでお腹の脂肪が肛門から排泄できるらしいです。

「トイレで感涙」ということは、自分が出した便を見れば、ドッサリ脂肪が出てることが分かると言うことでしょうか?

そんなの目で見て分かりますかねぇ?

お腹の脂肪は肛門からは出ない!

ハッキリ言いますが、お腹の脂肪は便といっしょには出ません

ウソでも、コンセプトとして間違ってるし、根拠となる臨床データの開示もまったくなし。

これを信じる根拠がない!

ポッコリお腹は余剰な脂肪を貯蔵した結果です。

エネルギーの備蓄なので、エネルギーを消費しないと減らせられません。

タンクに溜めたガソリンは消費しないと減りませんし、使わずに継ぎ足し給油していれば増える一方です。

ですから、脂肪を消費するとともに、過剰に摂取しないことが重要です。

つまり、運動と食事の見直しは、どうしても必要です。

脂質をエネルギーに変えるには、酵素の働きで代謝し、分解しなければなりません。

この代謝されるときに、化学反応の産物としてエネルギーを取り出すことができます。

そして、脂質が分解されてできた物質は、老廃物として腎臓から尿中に排泄されます。

便と一緒には出ませんから。。。

とっても怖い異所性脂肪

我々ヒトは、数日ぐらい絶食しても生きていけます。

先述の通り、余剰エネルギーの備蓄があるからです。

主なエネルギー源は糖質、脂質、タンパク質ですが、糖質のエネルギーはグリコーゲンの形で、主に筋肉や肝臓に蓄えられますし、一部は脂質に変換されて貯蔵されます。

脂質は体の様々な部位に貯蔵されますが、過剰になると、血液(高脂血症)や肝臓(脂肪肝)、内臓周りや筋肉に蓄積されます(異所性脂肪)。

この、異所性脂肪というのは、様々な病気の引き金になり、とっても危険なのです。

人の危機感につけ込んだ根拠のない広告

異所性脂肪の中でも、内臓周りにつく内臓脂肪は、ポッコリお腹が出るので見れば分かります。

見て分かるので、本人も「これではいかん」と危機感を持ちやすいのですね。

その危機感につけ込んで、「飲むだけで内臓脂肪がとれる」「苦労せずにお腹がへっこむ」と謳う広告のなんと多いことか。。。

法令に抵触しない限り、どんな広告を打とうが自由ですが、明らかに科学的根拠がないだろ?というものも多く、そして、そのような商品を購入する人がいるのも事実なのでしょう。

今回取り上げたのも、そういう類いです。

異所性脂肪は付きやすいが取れやす

ポッコリお腹の原因「内臓脂肪」

この異所性脂肪は、付きやすいが取れやすいのです。皮下脂肪より、よっぽど取れやすい。

ちょっと怠惰な生活を送っていると、すぐに付きます。

でも、少し頑張れば、お腹がへっこむので取れているのが見て分かります。

極端な食事制限や、過度な運動までは必要ありません。

少し食事の質と量を見直し、一日数千歩の早歩きを習慣にするとかで様子を見てみましょう。

ある程度の努力・節制は必要ですが、腹囲や体脂肪率など、成果が数字となって見えるので、数字が下がっていくのを励みにして楽しく続けていくこともできますよ。

脂肪細胞を除去すればリバウンド知らず?

脂肪細胞は悪なのか?

以前から気になってた車内広告

「リバウンドなし」「脂肪細胞を吸引除去」

都心を中心に複数店舗を展開する美容系クリニックです。

いくら頑張って痩せても、油断するとすぐに元の木阿弥になってしまう。

それは悪モンの脂肪細胞がお腹に詰まっているから。

いくら努力してもムダ。脂肪細胞そのものを除去しなくちゃ。

脂肪細胞を除去してやればリバウンド知らず!

そういうことらしいですわ。

とっても怪しいので、ウェブサイトを見てみました。

総院長という肩書きの先生(もちろん医師)が顔出しで、説明されています。

これには「科学的根拠がある」とブッていますね。

脂肪細胞とは何か?

脂肪細胞とはなんでしょうか?

悪モンだから取り除くのが相当なのでしょうか?

確かに体の脂質が過剰になると、脂肪細胞が脂質を取り込んで、溜め込んで、パンパンになって肥大化します。

ポッコリお腹の人では、この肥大化脂肪細胞でいっぱいです。

そして、この肥大化脂肪細胞がワルサをしていることは確かではあります。

「脂肪細胞 役割」で検索してみると、表示トップにはこう記載されていました。

「脂肪細胞の役割は、血液中の余分な脂質や糖を取り込み、エネルギーとして蓄えること」

脂肪細胞は、余剰エネルギーの貯蔵庫であり、寒いところでも体温が維持できるのは、脂肪細胞のおかげです。

さらには、エネルギー不足(飢餓状態)に陥ったとき、この備蓄はなくてはならない存在です。

でも、この飽食の時代、、、飢餓状態になることなど考えられないから、悪モンの脂肪細胞は取り去ってしまえってか?

脂肪細胞の重要な役割

脂肪細胞には、表示トップで示された説明には書かれていない重要な役割があります。

脂肪細胞がこの役割を果たせなくなると、様々な病気の原因になり得る! それくらい重要な役割です。

肥大化していない健全な脂肪細胞は、様々な生理活性物質を放出しています。

なかでも重要なのがアディポネクチンという、血流にのって他の細胞に届いて情報を伝達する物質で、体の機能を整え、恒常性を維持するのに欠かせないものです。

その機能とは、血圧や血糖値を適正に制御したり、血液のネバネバ・ドロドロを防いだり、免疫系を調整したり、、、

他にはレプチンという物質が中枢神経系に働いて満腹感をもたらし、過剰な摂食行動を抑制してくれています。

脂肪細胞が出す物質が、なくてはならない重要なものだと言うことがお分かりいただけるでしょう。

決して、脂肪細胞は悪モンでも、不要な存在でもないのです。

除去するなんて、ナンセンスもいいところ!

重要なのは脂肪細胞の肥大化を防ぐこと

ところが、栄養過多で体内に脂質があふれる状態が長期に続くと、恒常性維持の機能が働いて、体内の適正な脂質量を保とうと脂肪細胞が余剰の脂質を取り込み続けます。

↑ 左:脂肪を溜め込み、肥大化した脂肪細胞

その結果、パンパンに肥大化した脂肪細胞が放出する物質の種類が大きく変化します。

イイモン物質のアディポネクチンとレプチンの放出は減少し、血圧上昇作用のあるアンジオテンシノーゲン、体中に慢性炎症を引き起こすTNF-α、インスリンが効きにくくなるレジスチン、血栓ができやすくなるPAI-1といった悪モン物質が多量に放出されるようになるのです。

このとき、体のあちこちで慢性炎症が起きている状態であると考えられ、このまま長期に放置していると、様々な生活習慣病を引き起こすことになりえます。

本来、脂肪細胞は重要な役割を担っており、なくてはならないもの。

良くないのは、脂肪細胞を肥大化させること。

ですから、取り除けばいいと言うわけではない、ということがご理解いただけたと思います。

いや、取り除けば、体の機能を維持できなくなりますよッ、てばよッ!

食事と運動――これに尽きる

異所性脂肪は付きやすいが取れやすい

肥大化した脂肪細胞も同じです。ちょっと頑張れば元に戻ります。

ポッコリお腹は肥大化脂肪細胞でいっぱいです。

頑張ってお腹がへっこんで来たら、確実に肥大化脂肪細胞も回復しています。

お腹をへっこめるのに近道はありません。

でも大丈夫! お腹の脂肪は付きやすいが取れやすい。(何度でも繰り返し言います)

多少の努力は必要ですが、それほど「修羅の道」というほどのものではありません。

だから、絶対に取り除かないでッ!

結論:専門家の言うことが科学的根拠に基づいているとは限らない

医者とか大学の先生とか博士とか、その道の専門家(らしき人)の言うことは信じてしまいがちです。

でも、本当に残念なことですが、そういう権威のある人の言うことも、根拠に基づいているとは限らないと認めざるを得ません。

偉そうな肩書きだが、本当に分かってるのか? もしかして、分かっててやってるんじゃないのか?

なかでも、美容系など保険診療外の医療サービスは要注意です。

特に、富裕層を狙った高額なモノには安易に飛びつかないでください。

できれば信頼できる専門知識のある人に聞いてみて欲しいです。

身近に、そのような人がいなければ、かかりつけ医にでも聞いてみるのがいいのですが、やっぱり聞きづらいですよね。だから、一人で悩むんですよね。

分かります。

本当に、一般の方が、このような広告の真贋を見分けるのは難しいことだと思います。

どうすれば、そういう人たちの助けになれるのか? 日々、悩みは尽きません。

脂肪細胞については、以下のブログもご参照

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

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